トムソンISIが2003年ノーベル賞の有力候補者を発表

2003年9月29日(JST)
米国ペンシルバニア州フィラデルフィア/英国ロンドン発

ノーベル賞受賞者の予想は可能でしょうか?引用索引データベースのパイオニアであるトムソンISIより、2003年以降にノーベル賞を受賞する可能性のあるトップ研究者として、2003年のCitation Laureates(引用最高栄誉賞)をここに発表します。

論文の引用とは、先行研究を明示して先駆者への敬意を表する行為であり、学術分野における影響度を直接的に反映するものです。したがって、同じ分野の研究者からそのような信望を得ている研究者は、様々な賞や名誉に推薦されることが多いのです。ISIの創始者であり名誉会長であるユージン・ガーフィールド(Eugene Garfield)博士は、論文の被引用回数と名誉ある賞、特にノーベル賞の受賞との相関性を指摘しています。

ISIの Citation Laureates は、過去20年以上にわたる学術論文の被引用数に基づいて、各分野の上位0.1パーセントにランクする研究者たちです。彼らはまた自然科学や社会科学の特定の分野で非常に影響力のある論文を発表しており、その影響度は他の研究者が彼らを引用する回数によって特定されます。

「1901年以来、毎年授与されているノーベル賞ですが、その選考過程で、ノーベル委員会は各分野におけるある研究領域に着目し、その研究の発展に最も寄与したと思われる人物を特定するのです」と、ISI社のアナリスト、デイビッド・ペンドルベリー(David Pendlebury)は述べています。「過去30年以上にわたるISI社での研究によって、学術論文の被引用数と、ピア・エスティーム(同分野の研究者からの敬意)には、強い相関関係があることが分かっています。これはノーベル賞の授受にも反映されています。」

トムソンISIの2003 Citation Laureatesをここに発表します。


Chemistry<化学>

トピック:ナノスケールの機械製造およびマイクロエレクトロニクスの大幅な発展を約束する、分子自己集合に関する先駆的研究

J. Fraser Stoddart
Saul Winstein Professor of Organic Chemistry
University of California at Los Angeles
Los Angeles, Calif.(米国)
George M. Whitesides
Mallinckrodt Professor of Chemistry
Harvard University
Cambridge, Mass.(米国)
新海征治
福岡市
九州大学大学院工学研究院
応用化学部門 教授

トピック:有機物と天然物の合成に関する研究、特に1994年のタキソールTM全合成および 1998年~1999年のバンコマイシン全合成の達成

K.C. Nicolaou
Chairman, Department of Chemistry
Aline W. and L.S. Skaggs Professor in Chemical Biology and Darlene Shiley Chair in Chemistry
The Scripps Research Institute
La Jolla, Calif.
Professor of Chemistry
University of California, San Diego
San Diego, Calif. (米国)

2005 NOBEL PRIZE WINNER!

トピック:有用な触媒作用、特に高分子化(いわゆるリビング・ポリマーの生成)作用をもつ化合物の設計と合成における画期的研究

Robert H. Grubbs
Victor and Elizabeth Atkins Professor of Chemistry
Division of Chemistry and Chemical Engineering
California Institute of Technology
Pasadena, Calif. (米国)

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Economics<経済学>

2013 NOBEL PRIZE WINNER!

トピック:株式収益と景気変動の関係を理解する上での独創性に富んだ貢献

Eugene F. Fama
Robert R. McCormick Distinguished Service Professor of Finance
Graduate School of Business
University of Chicago
Chicago, Ill. (米国)

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Kenneth R. French
Carl E. and Catherine M. Heidt Professor of Finance
Tuck School of Business
Dartmouth College
Hanover, N.H. (米国)

トピック:多分野にわたる経験的マクロ経済学、特に1970年代の国庫借入金の研究における先駆的貢献

Robert J. Barro
Robert C. Waggoner Professor of Economics
Harvard University
Cambridge, Mass.
Senior Fellow of the Hoover Institution
Stanford, Calif. (米国)

2003 NOBEL PRIZE WINNER!

トピック:時系列分析および予測のための計量経済学に不可欠なテクニックである、共和分分析の開発

Clive W. J. Granger
Department of Economics
University of California, San Diego
La Jolla, Calif. (米国)
Robert F. Engle
Michael Armellino Professor in the Management of Financial Services
New York University Stern School of Business
New York, N.Y. (米国)

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Physiology or Medicine<医学・生理学>

トピック:腫瘍形成における癌抑制遺伝子の役割の発見と解明

Alfred G. Knudson, Jr.
Senior Advisor to the President and Fox Distinguished Scientist
Fox Chase Cancer Center
Philadelphia, Pa. (米国)
Bert Vogelstein
Professor of Oncology and Pathology with a Joint Appointment in Molecular Biology and Genetics
The Sidney Kimmel Comprehensive Cancer Center at Johns Hopkins University
Baltimore, Md.
Howard Hughes Medical Institute Investigator (米国)
Robert A. Weinberg
Daniel K. Ludwig and American Cancer Society Professor for Cancer Research
MIT
Cambridge, Mass.
Member
Whitehead Institute
Cambridge, Mass. (米国)

トピック:2つの基礎的生化学プロセスを明らかにした細胞シグナル伝達に関する画期的貢献(Berridge氏はセカンドメッセンジャーのイノシトール三リン酸に関する研究に対し、西塚氏はプロテインキナーゼCの発見と分析に対して)

Sir Michael J. Berridge, FRS
Deputy Scientific Director and Head, Molecular Signaling
The Babraham Institute
Babraham
Cambridge, United Kingdom
Honorary Professor of Department of Zoology
University of Cambridge
Cambridge, United Kingdom (英国)
西塚泰美
神戸市
神戸大学名誉教授

トピック:ヒトゲノムマッピングへの貢献

Francis S. Collins
Director, National Human Genome Research Institute
Senior Investigator
Genome Technology Branch
National Institutes of Health
Bethesda, Md. (米国)
Eric S. Lander
Professor of Biology
MIT
Cambridge, Mass.
Director of the Whitehead Institute/MIT Center for Genome Research
Whitehead Institute
Cambridge, Mass. (米国)
J. Craig Venter
President
The Center for Advancement of Genomics
Institute for Biological Energy Alternatives, and Venter Science Foundation
Rockville, Md. (米国)

Physics<物理学>

トピック:窒化ガリウムを基盤とした半導体を用いた、青色レーザーおよび青、緑、白色発光ダイオード(LED)の発明--データ保存技術、すなわち発光デバイスにおける偉大な躍進に対して

中村修二
Professor, Materials Department
Director of the Center for Solid State Lighting and Displays
University of California, Santa Barbara
Santa Barbara, Calif.

トピック:超伝導化合物の発見を含む、強相関電子酸化物に関する傑出した研究、および巨大磁気抵抗現象に関する研究

十倉好紀
東京
東京大学大学院工学系研究科
物理工学専攻 教授

トピック:ひも理論およびM理論に関する貢献

Michael B. Green, FRS
John Humphrey Plummer Professor of Theoretical Physics
Theoretical High Energy Particle Physics Group
University of Cambridge
Cambridge, United Kingdom (英国)
John H. Schwarz
Harold Brown Professor of Theoretical Physics
Division of Physics, Mathematics and Astronomy
California Institute of Technology
Pasadena, Calif. (米国)
Edward Witten
Charles Simonyi Professor
School of Natural Sciences
Institute for Advanced Study
Princeton, N.J. (米国)

2003 Citation Laureatesリストの作成にあたり、トムソンISIでは各ノーベル賞に該当する主要な分野において、各研究者の被引用数の合計とHigh Impact Papers(被引用数による分野別・年別のトップ200論文)の本数とを調査しました。さらにこれらのデータを、ノーベル委員会の注目に値すると思われる研究領域に照らし合わせました。これを判断材料として、4分野それぞれについて、分野ごとに最終的に3組ずつの候補者グループを選出しました。2003 Thomson ISI Citation Laureatesの選考過程の詳細については、次のウェブページをご覧ください。
http://www.in-cites.com/nobel/2003-nobel.html

また、2002年の選考過程の詳細については、次のウェブページをご覧下さい。
http://www.in-cites.com/nobel/2002-nobel.html


トムソンコーポレーションとトムソンISIについて

トムソンコーポレーションは、2002年の収益78億ドル、ビジネスおよび専門家ユーザの皆様に統合情報ソリューションを提供するグローバル・リーダーです。法律、税、会計、金融、高等教育、参考資料、企業研修、アセスメント、科学研究やヘルスケアなどの分野における2,000万人以上のユーザの皆様に、付加価値情報やソフトウェアツール、アプリケーションを提供しています。当社の普通株は、ニューヨークおよびトロントの株式市場に上場されています(NYSE: TOC、TSX: TOC)。 ISIはトムソンコーポレーションの一事業体として、様々な分野の研究者、情報スペシャリスト、管理者700万人以上に、ウェブを基盤とした重要かつ高品質の情報をお届けしています。


解 説

以下の記事は、弊社ウェブページより抜粋したものです(参考邦訳)。
URL: http://www.in-cites.com/nobel/2003-nobel.html

昨年トムソンISIが発表した同様のリストでは、ノーベル経済学賞候補として選出された3組のうち1名が実際に受賞しています。弊社発表ではプリンストン大学のDaniel Kahneman氏とシカゴ大学のRichard H. Thaler氏を経済学賞候補とし、「経済学と心理学の架け橋を形成した、行動と意思決定に関する傑出した研究に対して」と紹介しました。実際にはThaler氏ではなく、ジョージ・メイソン大学のVernon L. Smith氏がKahneman氏とともに経済学賞を受けました。表彰にあたって、「心理学研究から得た見識、特に不確実性下の判断力や意思決定に関する洞察を経済学に取り入れた功績に対して」とKahneman氏は紹介されています。弊社の予想は見事に的中したと言えるでしょう。

更に、昨年の弊社発表は化学賞の予想においてもあと一歩のところでした。弊社が予想した3組のうちのひとりは米国国立衛生研究所のAdriaan Bax氏で、その紹介文は「溶液中の高分子タンパク質構造を解明する、核磁気共鳴(NMR)の利用に関する全く新しい進歩に対して」というものでした。実際に受賞したのはバージニアコモンウェルス大学のJohn B. Fenn氏と日本の島津製作所の田中耕一氏がそれぞれ4分の1ずつの受賞、そして残りの半分はスイス連邦技術研究所および米国スクリプス研究所に所属するKurt Wuthrich氏に授与されました。弊社の予想があと一歩であったというのは、Wuthrich氏の紹介文が次のようであったからです:「溶液中の生体高分子の三次元構造を判定するための核磁気共鳴分光法の開発に対して」 少なくとも、論文引用データの分析により、正しい研究領域を言い当てることはできたわけです。更に、Wuthrich氏の功績の説明の中では、Wuthrich氏のアプローチを進展させることとなったBax氏についても触れられています。我々の予想はたいへん惜しいものでした。

物理学賞と医学・生理学賞の昨年の予想は、残念ながら的中しませんでしたが、弊社は昨年選出した候補をそのままリストに載せています。今年の予想では、経済学賞と化学賞の候補として、新たに2名をリストに加えました。当然のことながら同じ人物の、あるいは同じ研究領域での受賞はあり得ないからです。また、化学の分野では昨年からすでに選出されていたグループに、新たに新海征治氏を加えました。近年の被引用数の伸びを見ても、分子自己集合に関する研究について賞が授与されるのであれば、新海氏はStoddart氏やWhitesides氏と共に候補となるべきです。そして、我々は特に医学・生理学賞の予想も的中することを願っています。Knudson氏やVogelstein氏、Weinberg氏らと共に、Berridge氏および西塚氏らは、とうにノーベル賞を受賞していてもよいくらいです。

弊社の予想が的中しました!

本件問合せ先

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トムソン・ロイター引用栄誉賞