インパクトの高い論文数分析による日本の研究機関ランキングを発表

~総合ランキングでは引続き東京大学が1位。世界において日本の影響力が高い分野は化学、免疫学、材料科学、生物学・生化学、物理学、植物・動物学、分子生物学など~

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2015年4月16日(日本時間)
東京発

世界的な情報サービス企業であるトムソン・ロイター(本社:米国ニューヨーク、日本オフィス:東京都港区)は、昨年に引き続き、高被引用論文数による日本の研究機関ランキングを発表いたしました。本分析は、後続の研究に大きな影響を与えている論文(高被引用論文)数をもとに、世界の中で日本が大きなインパクトを与えている分野における国内で存在感のある研究機関を把握しようという試みです。

研究機関や研究者個人が特定の集合の中でどのくらいの位置にいるのかを分析する指標として、高被引用論文などの相対的な指標による分析に注目が集まっています。日本の高被引用論文が多く輩出されている分野は、上位から材料科学、化学、免疫学、生物学・生化学、物理学、植物・動物学、分子生物学 となっています。これらの分野において、日本は世界の研究コミュニティの中でも大きな存在感を示していると言えます。

「 国内研究機関の総合トップ20機関」

<表1>総合/General

国内
順位
機関名 高被引用論文数 高被引用論文数
の割合
1 東京大学 1,311 1.6%
2 京都大学 739 1.2%
3 大阪大学 590 1.2%
4 国立研究開発法人理化学研究所 557 2.3%
5 東北大学 505 1.1%
6 国立研究開発法人産業技術総合研究所 375 1.3%
7 名古屋大学 339 1.1%
8 東京工業大学 288 1.1%
9 国立研究開発法人物質・材料研究機構 257 1.8%
10 九州大学 254 0.8%
11 筑波大学 232 1.1%
12 北海道大学 207 0.6%
13 広島大学 186 1.1%
14 岡山大学 179 1.2%
15 自然科学研究機構* 148 1.2%
15 慶應義塾大学 148 0.9%
17 早稲田大学 144 1.3%
18 神戸大学 138 1.0%
19 高エネルギー加速器研究機構 122 1.9%
20 千葉大学 111 0.8%

* マークは、組織名を名寄せした集計値です。

※国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)は戦略的に科学技術イノベーションの創出を推進するファンディングエージェンシーとしての事業内容を鑑みランキングには入れてありませんが、高被引論文数は827報、高被引用論文の割合2.5%でした。

【本分析に使用したデータベース】

Essential Science Indicators™ (以下ESI)

【高被引用文献(Highly Cited Papers)の定義】

 ESIは、科学全体を大きく22の研究分野に分類しています。そして、それぞれの分野において被引用数が上位1%の論文を高被引用論文(Highly Cited Papers)と定義しています。
 引用は分野によって動向が異なること、一般的に論文発表から時間を経るほど多くなることを踏まえ、各年・分野別の高被引用論文を特定し、集計しています。
 今回の分析は、ESIに収録されている世界の研究機関情報から、日本の各研究機関が上記条件でどれだけインパクトの高い論文を出しているかに注目しました。高被引用論文を多く輩出する研究機関は、比例してその分野で関心を集める傾向があります。そのため、これら相対的定量データは、世界的な学問・研究にどれだけ影響力を持っているか、自機関の世界の位置を示唆するひとつの有力な指標となります。

【データ対象期間】

2004年1月1日~2014年12月31日 (11年間)

【今回のランキングについて】

総合分野(科学全体):トップ20

分野別:高被引用論文数において、世界順位が上位の日本の分野(今回は22分野中7分野を抽出)

  • 総合分野(科学全体)の1位は東京大学でした。4月から定められた研究開発を行う国立研究開発法人がトップ10に3機関含まれているほか、20位以内に大学共同利用機関法人が2機関含まれています。
  • 日本の高被引用論文数が世界のトップ6位に入っている分野は化学、免疫学、材料科学、生物学・生化学、物理学、分子生物学、植物・動物学の7分野です。全体の約1/3の分野が6位以内に入っています。
  • 分野別のランキングには、特定の分野に特化した研究機関がその存在感を示しています。例えば、免疫学の国立感染症研究所、植物・動物学では農林水産系の国立研究開発法人が上がってきています。

【注意】

ESIでは、共著者の所属機関をすべて網羅し包括的に収録しています。そのため、第一著者、責任著者、その他の著者の区別なく、日本の研究機関が著者所属機関に含まれる高被引用論文の総計が順位に反映されます。


「分野別トップ10」

日本の研究機関が著者所属機関に含まれる高被引用論文の総計が、世界順位で上位の分野から、日本の大学・研究機関を抽出しました。
今回の分析は、ESIで指定する22分野中、化学、材料科学、免疫学、生物学・生化学、物理学、植物・動物学、分子生物学の7分野が6位以内に入っています。
その7分野における日本の研究機関のトップ10は以下の通りです。

<表2> 化学/CHEMISTRY(世界5位)

順位 機関名 高被引用論文数 高被引用論文数の割合
1 東京大学 156 1.8%
2 京都大学 145 1.5%
3 大阪大学 104 1.3%
4 国立研究開発法人産業技術総合研究所 96 1.3%
5 国立研究開発法人物質・材料研究機構 65 2.3%
6 東北大学 60 0.9%
7 東京工業大学 49 0.7%
8 名古屋大学 41 1.0%
9 九州大学 40 0.8%
10 北海道大学 38 0.9%

<表3>材料科学/MATERIALS SCIENCE(世界4位)

順位 機関名 高被引用論文数 高被引用論文数の割合
1 国立研究開発法人物質・材料研究機構 93 1.9%
2 東北大学 64 1.0%
3 東京大学 55 1.6%
4 国立研究開発法人産業技術総合研究所 49 1.2%
5 大阪大学 30 0.8%
6 京都大学 29 1.0%
7 東京工業大学 20 0.7%
8 国立研究開発法人理化学研究所 19 3.6%
9 九州大学 18 0.8%
10 北海道大学 14 0.8%

<表4>免疫学/IMMUNOLOGY(世界5位)

順位 機関名 高被引用論文数 高被引用論文数の割合
1 大阪大学 68 5.5%
2 東京大学 37 2.7%
3 京都大学 34 4.0%
4 国立研究開発法人理化学研究所 25 3.7%
5 東北大学 11 2.1%
5 九州大学 11 2.0%
7 国立感染症研究所 6 0.6%
7 慶應義塾大学 6 1.5%
7 兵庫医科大学 6 3.6%
10 順天堂大学 5 1.0%

<表5>生物学・生化学/BIOLOGY & BIOCHEMISTRY(世界6位)

順位 機関名 高被引用論文数 高被引用論文数の割合
1 東京大学 73 1.1%
2 京都大学 55 1.1%
3 大阪大学 39 0.9%
4 国立研究開発法人理化学研究所 38 1.2%
5 国立研究開発法人産業技術総合研究所 19 0.9%
6 慶應義塾大学 14 1.1%
7 九州大学 13 0.5%
8 名古屋大学 12 0.5%
8 北海道大学 12 0.4%
10 東北大学 11 0.4%
10 自然科学研究機構* 11 1.4%

<表6>物理学/PHYSICS(世界6位)

順位 機関名 高被引用論文数 高被引用論文数の割合
1 東京大学 355 2.0%
2 京都大学 167 1.6%
3 国立研究開発法人理化学研究所 165 2.2%
4 東北大学 145 1.2%
5 東京工業大学 113 1.5%
5 大阪大学 113 1.1%
7 高エネルギー加速器研究機構 110 2.1%
8 筑波大学 105 2.2%
9 名古屋大学 92 1.6%
10 国立研究開発法人産業技術総合研究所 89 1.2%

<表7>植物・動物学/PLANT & ANIMAL SCIENCE(世界6位)

順位 機関名 高被引用論文数 高被引用論文数の割合
1 国立研究開発法人理化学研究所 151 11.4%
2 東京大学 129 2.9%
3 国立研究開発法人
農業生物資源研究所
58 3.8%
4 名古屋大学 48 3.7%
5 京都大学 43 1.2%
6 岡山大学 38 3.8%
6 国立研究開発法人
国際農林水産業研究センター
38 11.5%
8 奈良先端科学技術大学院大学 33 8.2%
9 千葉大学 27 3.7%
10 自然科学研究機構* 23 4.8%
10 国立研究開発法人
農業・食品産業技術総合研究機構
23 1.0%

<表8>分子生物学/MOLECULAR BIOLOGY & GENETICS(世界6位)

順位 機関名 高被引用論文数 高被引用論文数の割合
1 国立研究開発法人理化学研究所 58 1.9%
2 東京大学 54 1.2%
3 大阪大学 53 1.9%
4 京都大学 47 1.5%
5 東京医科歯科大学 28 3.1%
6 公益財団法人 東京都医学総合研究所 25 7.0%
7 慶應義塾大学 21 2.2%
8 筑波大学 18 2.0%
9 情報・システム研究機構* 16 1.7%
9 東北大学 16 1.1%

※国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)は戦略的に科学技術イノベーションの創出を推進するファンディングエージェンシーとしての事業内容を鑑みランキングには入れてありませんが、各分野における高被引論文数と高被引用論文の割合は以下の通りです。

分野 高被引用論文数 高被引用論文数の割合
化学 209 2.6%
材料科学 87 4.1%
免疫 49 7.0%
生物学・生化学 64 1.8%
物理学 176 1.8%
植物・動物学 53 7.5%
分子生物学 74 3.0%

なお、22分野における日本の順位は以下の通りです。

分野順位
Agricultural Sciences 16
Biology & Biochemistry 6
Chemistry 5
Clinical Medicine 13
Computer Science 14
Economics & Business 21
Engineering 11
Environment/Ecology 18
Geosciences 8
Immunology 5
Materials Science 4
Mathematics 15
Microbiology 12
Molecular Biology & Genetics 6
Multidisciplinary 9
Neuroscience & Behavior 10
Pharmacology & Toxicology 8
Physics 6
Plant & Animal Science 6
Psychiatry/Psychology 21
Social Sciences, general 20
Space Science 9

ESIの22分野分類の詳細と定義については、こちら(http://archive.sciencewatch.com/about/met/fielddef/)をご覧ください。

【Essential Science Indicatorsとは】

分析に用いたEssential Science Indicatorsは、学術論文の引用動向データを提供する統計データベースです。学術文献・引用索引データベース「Web of Science® Core Collection」の収録レコードをもとに、論文の被引用数から、世界のトップ1パーセントにランクされる研究者と研究機関の情報をそれぞれ収録しています。収録データは2か月ごとに更新されます。
Essential Science Indicators 製品概要

【InCitesとは】

InCites は、Web上で提供され、カスタマイズにも対応した、引用文献に基づく研究評価ツールです。学術機関や政府機関の管理者の皆様は、研究者の生産性を分析し、ベンチマーキングの結果を世界中の研究機関と比較することができます。
InCites 製品概要

【Web of Scienceとは】

Web of Science は、Web of Science Core Collectionをはじめとする膨大な量の高品質な文献コンテンツを包括し、自然科学、社会科学、人文科学の情報の迅速な検索、分析、共有を支援する最高水準の調査研究プラットフォームです。
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